嵯峨野エリア

祇王寺の歴史・見どころ。美しい苔寺は清盛との悲恋物語の舞台だった

投稿日:2019年5月26日 更新日:

京都・嵯峨野にある「祇王寺」

この美しい苔寺はかつて平清盛の寵愛を受けていた祇王が出家したお寺として有名です。

平安時代末期が大好きな歴女の私、ここの祇王寺もお気に入りスポットの一つなんです。

今回は祇王寺の歴史・見どころをレポートするとともに、清盛と祇王の悲恋物語を紹介しちゃいましょう♪

 

祇王寺ってどんなお寺なの?

石の階段をのぼっていくと、祇王寺の入口があります。

この日私は開門と同時に拝観しようと、到着したのは9時ちょっと前でした。

開門するときに拝観客は2人だったので、ゆっくり拝観できてよかったです。

祇王寺(ぎおうじ)は京都市右京区にある真言宗大覚寺派のお寺です。

最寄り駅はJR「嵯峨野」駅。

私は駅からタクシーで行きました。

1000円もかからずに到着しましたので便利ですよ♪

 

ちなみにこのお寺は尼寺となっています。

山号は「高松山」、院号は「往生院」、ご本尊は「大日如来」です。

 

祇王寺の歴史は?

祇王寺は浄土宗の僧侶・良鎮が建てた「往生院」を引き継いで現在まで至っています。

「平家物語」には平清盛の寵愛を受けた祇王・仏御前が出家したお寺としても記されていることは有名ですね。

その後時代は流れ、往生院は衰退していきました。

 

明治時代の初期には廃寺になってしまいますが、嵯峨にある大覚寺の支配を受けて真言宗に改宗

(なので、受付では大覚寺との共通拝観券もありましたよ!一緒にめぐる方はお得ですのでぜひこちらで♪)

 

1905年(明治38年)、富岡鉄斎たちの尽力で復興します。

庵主・智照尼瀬戸内寂聴の小説「女徳」のモデルとなりましたが、1994年(平成6年)98歳でお亡くなりになりました。

また、フォークデュオ「タンポポ」が1975年に出した「嵯峨野さやさや」という曲の3番の歌詞に、「朝の祇王寺 苔の道」と祇王寺が登場しています。

 

昔はここまで苔が美しいお寺ではなかったのかもしれませんが、廃寺のままだったら残念ですよね。

祇王寺がこんなにも美しいお寺でいられるのは、たくさんの人達の力だということが伝わってきます。

また、私は瀬戸内寂聴の小説「女徳」という作品は読んだことがありませんが、ぜひ読んでみたいと思います。

 

平清盛と祇王の物語

さて、苔がとても美しい祇王寺ですが、お寺の名前にもなっている「祇王」はどのような人物なのでしょうか?

 

祇王は平家の家人・江部九郎時久の娘として近江国祇王村(現・滋賀県野洲市)で誕生しました。

祇王の生誕の地には、祇王の供養をするために「妓王寺」が建てられたんだよ

 

成長した祇王は、母・刀自、妹・妓女とともに京都で有名な白拍子になります。

そして時の権力者・平清盛に寵愛されるようになるのです。

祇王はもちろんのこと、妹も大人気となり、母も立派な家に住めるようになるなど一家は栄えました。

京都にいる他の白拍子は祇王の幸せをうらやましく思い、自分の名前に「祇」の文字をつける人もいたそうです。

時の権力者をも虜にする祇王…さぞかし魅力的な女性だったのでしょう。

無理な話ではありますが、私も祇王の舞を見てみたくなりました。

 

三年後、京都に評判の高いある白拍子が現れました。

彼女は加賀の出身で、16歳。

名前を「仏」といいました。

仏は清盛のもとを訪れて「自分の舞を見てほしい」と頼みます。

なんと積極的な女性なのでしょう!

今でいう肉食系女子でしょうか。

 

しかし祇王にベタ惚れだった清盛は、

「遊女は呼ばれて来るもので、自分から来るとは何事だ。

おまけに祇王がいるところに来るなんて許されることではない。

さっさと出ていきなさい」

と追い出そうとしました。

女性にとってこの対応はうれしいかぎりですね。

ここであっさりと他の女性を招き入れたら私なら幻滅してしまいます…。

 

だけど祇王、とんでもないことを清盛に提案してしまうんです。

「そんなにそっけなく帰してしまわれてはかわいそうです。

私も同じ白拍子ですので、他人事には思えません。

御対面だけでもされたらいかがでしょうか」

 

えええええーーー!

これは祇王がとても心の優しい人物だったからなのかもしれませんが、私だったら絶対にこんな提案しませんよ…。

 

清盛は「そんなに言うのなら」と仏御前を呼び戻しました。

結局呼び戻すのかーーい!

 

仏御前の今様や舞はとても見事なものでした。

清盛はあっという間に仏御前に心を移してしまい、仏御前を自分のそばに置こうとします。

気持ち変わるの早すぎだろ!とつっこみたくなる展開です。

 

この展開に仏御前も驚き、

「追い出されそうになっているのを祇王御前のおとりなしで呼び戻していただいたのです。

それなのに私を召しおかれるなど、祇王御前に気恥ずかしいです、早くお暇をください」

と清盛に伝えたのです。

 

すると清盛は、

「祇王がいて遠慮をするなら、祇王を追い出せばいい。

祇王、早く退出しろ」

と、なんと祇王を追い出してしまうのです。

いやいや、あなたさっきまで祇王のこと愛していませんでした?

 

祇王は「いつかは追い出される身だ」と覚悟はしていましたが、こんなにも早く追い出されたことにショックを受けました。

せめて形見を残そうと、泣く泣く襖に一首の歌を書いたのです。

 

「萌え出づるも枯るるも同じ野辺の草いづれか秋にあはではつべき」

(春に草木が芽をふくように、仏御前が清盛様に愛されるのも、私が捨てられてしまうのも、しょせんは同じ野辺の草(白拍子)なのだ。

どちらも秋になって枯れ果ててしまうように、誰が清盛様にあきられないで終わることがあろうか)

 

あっさりと身を引かず、最後の悪あがき…といったところでしょうか。

ついさっきまで寵愛を受けていたのにこの展開なんだから、これくらいしたってバチはあたりませんよね!

祇王、本当に気の毒で泣けてきます…。

 

自分の家へと戻った祇王は、悲しみのあまり倒れ伏して泣くことしかできませんでした。

そしていつしか、毎月家に送られていたお米もお金も止められてしまうのです。

私、清盛という人物は大好きなのですが祇王に対するこの仕打ちだけは未だに受けいれられません…。

 

翌年の春、祇王のところに清盛からの使いがきました。

「仏御前が寂しそうにしているから、こちらへ来て今様をうたい、舞を舞って慰めてやってほしい」と。

なんてひどい要求でしょう!自分を捨てたくせにそんなことを言う清盛に、私まで腹が立ってきます。

母になんとか説得され、祇王はしかたなく西八条の清盛のもとへと向かいました。

 

祇王は下手に席を用意され、あまりの悔しさに袖で涙をおさえます。

当たり前ですよね、今まで清盛の傍にいたのに今ではこんな扱いを受けているのです。

その様子を見ていた仏御前はとても気の毒に思いますが、清盛に強く止められたため何もすることはできません。

そして祇王は、清盛の命のとおり今様を歌うのです。

 

「仏も昔は凡夫なり 我等も終には仏なり

いづれも仏性具せる身を へだつるのみこそかなしけれ」

(仏も昔は凡人でした。

私たちもいつかは悟りをひらいて仏になるのです。

そのように誰もが仏になれる性質をもっているのに、

このように仏(仏御前)と自分(祇王)を分け隔てるのが、本当に悲しいことです)

 

この今様には祇王なりの皮肉がこめられているのかもしれません。

これを清盛の前で披露する祇王の度胸にも関心しますが…。

 

役目を終えた祇王は清盛の邸をあとにし、自ら命を絶とうとしました。

おまけに妹・ 祇女も一緒に死ぬ!と言い出します。

しかし母に泣く泣く説得され、都を出てになることを決めたのです。

三人は嵯峨の山奥に粗末な庵をつくり、念仏を唱えて後世の幸せを願いました。

この時代、女性は泣かされることが多かったのでしょう。

なんともやりきれない結末におもわず涙してしまいますね。

 

そして月日が経ち、ある秋の夜のこと…

竹の網戸をとんとんと叩く人がいました。

こんな夜更け、こんな山里に訪れる人は誰なのだろうと恐る恐る出てみると、そこにはなんと仏御前がいたのです。

え?仏御前は清盛とラブラブなのでは!?

驚いている祇王に向かって、仏御前は告げました。

 

「追い出されそうになっていたところを祇王御前のおとりなしで呼び戻されたのに、私だけが残ってとてもつらかったです。

祇王御前が書いた襖の筆の跡を見て、『なるほど、その通り、いつかは我が身だ』と思いました。

そして祇王御前が姿を変えてこちらにいらっしゃると聞いて、ぜひ私もと思いこちらに参ったのです。」

仏御前が衣をとると、すでに尼となっていました。

 

「どうか私の罪を許してください。

もし許していただけるなら、一緒に念仏を唱えて、極楽浄土の同じ蓮の上に生まれましょう」

と涙を流します。

 

その姿を見た祇王は涙をこらえ、

「あなたがここまで思っていたとは夢にも知りませんでした。

一緒に往生を願いましょう」

と迎え入れたのです。

 

なんと仏御前、祇王が屋敷を追い出されるときに残した歌を見たんですね。

あの歌、残しておいてよかった…のかな?

結局仏御前は清盛に捨てられる前に自分から姿を消したのでしょうか?

真実はわかりませんが、祇王も仏御前も、清盛に振り回された被害者という点においては同じなのかもしれませんね。

 

それから四人は同じ庵にこもり、朝夕一心に往生を願って本望を遂げたのです。

清盛がこの事実を知ったら、一体何を思うのでしょうか…。

 

祇王寺の見どころは?

苔庭

京都には苔で有名なお寺が何か所かあります。

その中でも祇王寺の苔庭は一見の価値があると断言できます!

地面には何種類もの苔がひろがっていて、まるで「緑色の絨毯(じゅうたん)」のようです。

苔というものは種類によって色が違うため、季節によって色が変化するのも魅力の一つだと思います♪

個人的におすすめなのが、緑が美しい初夏

私も日頃のストレスがなくなっていく癒しの効果を実感しました。

 

また、苔庭を抜けた草庵の一角に、苔を解説したコーナーが設置されています。

苔の解説はめったに見ることができないので、勉強するいい機会になりました!

一言に「苔」といっても色々な種類があるのですね。

「苔」はとても繊細なものです。

ふわふわの苔を見ていると思わず触りたくなりますが、触らないでくださいね。

 

草庵

草庵は祇王寺の本堂となります。

茅葺の古民家ような建物は、華やかさはないもののなぜだかホッとする空間だと思いました。

中には仏間控えの間があります。

仏間の仏壇には本尊の大日如来が安置。

そしてその隣には清盛公・祇王・祇女・母刀自・仏御前の木像があります。

鎌倉時代末期に作られたもので、水晶の目がちょっと怖いけど印象的でした。

草庵からも美しい苔庭が見えるので、お参りをしたら苔庭を鑑賞してみるのもおすすめです。

 

草庵の控えの間には「吉野窓」という円い形の大きな窓がありました。

この窓、影が虹色に見えるため「虹の窓」とも呼ばれています。

窓をおおっている障子の開け方によって雰囲気が変わるのがまた素敵!

中で見るのはもちろんのこと、外から眺めるのもよかったですよ~♪

 

草庵の近くには「絵馬」がありました。

舞を待っている祇王の姿でしょうか。

とてもかわいい絵馬なので、私も願いごとを書きました♪

 

宝筐院塔

宝筐は草庵の近くにあります。

左が祇王・祇女・刀自のお墓で、右の五輪塔が清盛の供養塔です。

どちらも鎌倉時代に作られたものと伝わっています。

往生院が廃寺になっていた間、木像といっしょに大覚寺が保管していたとか。

風化が原因で苔むした宝筐院塔を見ると、祇王の悲しい恋の結末と重ね合わせてしまいます。

と同時に、祇王と仏御前を苦しめた清盛に対して怒りが…。

いや、何度も言いますが清盛は好きなんですけどね。

 

水琴窟

草庵の入り口には石造りの水琴窟がありました。

水琴窟は穴をあけた「かめ」を手水鉢(ちょうずばち)などの底に埋めて、そこに落ちていく水滴の音を反響させて音を楽しむ装置のことです。

その音が「琴」に似ているため、「水琴窟」と呼ばれるようになりました。

静かな境内に聞こえる水琴窟の音はとても美しく、天然のコンサートを聞いている気分になれます。

 

嵯峨菊

祇王寺といえば苔だけではないんです!

季節になると美しい嵯峨菊を楽しめることもできるんですよ。

細長い花びらが特徴の嵯峨菊は、11月上旬~下旬が見頃です。

繊細な花は恋に破れた祇王と重ね合わせてしまいます。

 

嵯峨菊はとても気品のある花です。

祇王もこのように気品ある女性だったのでしょう。

儚いものほど美しいですね。

 

苔に落ちる楓

祇王寺にはたくさんのがあり、秋には紅葉を楽しむことができます。

紅葉と緑色の苔の組み合わせはまさに絶景!

個人的におすすめなのは、紅葉がハラハラと散って地面に落ちる時期です。

苔の上に重なっていく紅葉はまさに一枚の絵画を見ているかのような美しさでした。

京都にはたくさんの紅葉スポットがありますが、他の紅葉スポットとはまた違った魅力を見せてくれました。

 

まとめ

祇王寺は決して大きいお寺ではありませんが、素晴らしい時間を過ごすことができました。

ささっと歩いてしまえば5分ほどで見終わってしまいますが、祇王に思いをはせてゆっくりと苔を鑑賞するのがおすすめです。

特に写真好きの方には最高の撮影スポットだと思います。

私も苔の美しさに魅了され、たくさんの写真を撮ることができました!

景色によっていろいろな表情を見せてくれる祇王寺なので、何度でも訪れたくなるのが魅力の一つです。

 

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京都のナビゲーター

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日本史・京都を愛してやまない30代主婦。 年に数回は京都へ足を運んで情報収集しています。 京都の魅力をわかりやすくお話したいです。 少しでもあなたの京都旅行のお手伝いができますように。

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